

琳琅 No.173 2022年3月号より①
| 縄跳びが続く墓場の曼珠沙華 | 古谷 恭一 |
| 「曼珠沙華」は彼岸花の原名で、サンスクリット語の「マンジューシャカ」を音写した言葉だ。法華経の経典に於ける想像上の花で、赤ではなく柔らかな白色で、それを見る者はその純白さ故に、あらゆる罪業が浄化されるという。そんな霊力を具えた曼珠沙華たちが、縄跳びに興じるのだ。目的はさ迷っている魂を呼び入れ、浄化させた後、静かに眠りについてもらうためだ。ファンタジーを装った鎮魂の佳品である。〈細川 不凍〉 | |
| 節々に痛みがのこる竹の冬 | 岩渕比呂子 |
| 雪国にも孟宗竹はあるが、竹といえばつい根曲がり竹を思い浮かべる。竹の節は成長点であるが故に、痛みが集積する結節点とも言える。成長過程の痛みは特に見えないところに積み重なりその後を支える力となる。そう考えると同比呂子の「影だった頃がぱわーになる根っこ」という作品に納得して大きく頷いた。〈岩崎眞里子〉 | |
| 昨日より明日より今日の無限大 | 野邊富優葉 |
| 観念的な句ではあるが、「無限大」が力強い。この句は、とかく人は過去を引き摺り、また未来の不安に捕らわれて生きているが、大事なのは今日この時なのだと言っているようだ。過去はどうにもならないが、今日何をしたかによって変わる未来もある。今日という日の大切さと可能性を無限大という大胆な言葉使いで表現している。〈吉見 恵子〉 | |
| リアス式な起承転結 私小説 | 伊藤 寿子 |
| 頃合いは何時かと星に聞いてみる | 佐々木彩乃 |
| 雪雲や言葉の落ちてくるまでの | 氈受 彰 |
| ことばの木あらばあらばと名無し鳥 | 西条 眞紀 |
| 風騒ぐ花占いももう終る | 松村 華菜 |
| 鈍色をひらひら投函した命 | 姫野 彩愛 |
| 冬かもめ羽ごと売られていた港 | 杉山 夕祈 |
| 真夜中の画像妖しき解放区 | 松井 文子 |
| 桃の日へ繋ぐ白い花が咲く | みとせりつ子 |
| 冬莓あなたの嘘が眩しくて | 中嶋ひろむ |
| 極月やおもひといふは古びずに | 望月 幸子 |
2022.3.10
























