

琳琅 No.178 2023年1月号より①
| くっきりと佐渡は霊魂じみて冴え | 新井 笑葉 |
| 佐渡弥彦米山国定公園に含まれ、海府海岸という景勝地もあって、観光で周知の佐渡である。その華やかさも、かつて(中世以降)は罪人の流刑地として恐れられ、島流しの憂き目を見た人達の怨嗟の念や悔恨の情の渦巻く島だった。掲出句の「佐渡は霊魂じみて冴え」は、そういう負の歴史を踏まえながら、鋭角的感性で捉えた語句である。持ち前の剛直性の作風が「くっきりと」を呼び込んだ。新潟出身で世界王者にもなったジャイアント馬場は、子供の頃、苛めに合うと、その心の傷を癒すために、遠くに佐渡の見える海岸に佇ち、〈海は荒海/向こうは佐渡よ/すずめ啼けなけ/もう日はくれた・・・〉と続く北原白秋作詞の『砂山』を歌っていたという。佐渡には何かしらの霊力が具わっているのかも知れない。〈細川 不凍〉 | |
| 山猫の眼の中に降る無の時間 | 大谷晋一郎 |
| 山猫には、人間のようにあくせくとしたスケジュールのごときがあるはずもなく、厳しいながらも自由気ままに山で暮らしているものであろう。作者は、人を寄せつけない「山猫の眼」から、限りない自由を読み取って、敬意と羨望を抱いているかのようである。〈吉見 恵子〉 | |
| 末裔として火縄銃ぶっ放す | 古谷 恭一 |
| 痛快な作品だ。末裔としてのかなしみを一身に負いながら、爆発させたのだ。「いつまでも下っ端でいる訳ではないぞ」と。ユーモアを介在させての〈男うた〉に定評のある作者だ。世の中も、川柳作品も男性軟弱化の傾向が見受けられる中にあって、恭一氏の存在は貴重だ。〈細川 不凍〉 | |
| 雪消えてすみれと出逢う日のために | 吉田 州花 |
| 友見舞う半纏木の葉の降る日 | 福田 文音 |
| 裸木となりたる後も木の十字 | 杉山 夕祈 |
| 一冊の詩集と秋へ埋もれる | 松村 華菜 |
| 晩秋の余白へふっと雪匂ふ | 松田ていこ |
| 手に受けて秋の帷子赤蜻蛉 | 野邊富優葉 |
| 黄落の記念写真の褪せぬまに | 岡田 俊介 |
| 詮無しと斑の数は杜鵑草 | 斉藤 豊子 |
| うらびょうし生きたいと冬の海 | 姫乃 彩愛 |
| 握りしめるハンカチほどの白を抱く | 伊藤 礼子 |
| 先頭はひまわりぐんぐん大股 | 伊藤 寿子 |
2023.1.12
























